蛍火の杜へ


3樓貓 發佈時間:2022-08-17 10:57:53 作者:Renée Language


音頻:http://115.com/file/e73oful4#
螢火之森-音頻.rar



母:お爺ちゃんのいうことをよく聞くのよ。
蛍:うん。
母:ハンカチ持った?切符は?履歴書とスーツと靴は?まさかあんたはそれで?
蛍:大丈夫。ちゃんと黒いの入れた。
母:新幹線に荷物忘れないようにね。うととして乗り過ごしちゃだめよ。
蛍:うん、分ってる。もう、毎年行ってたんだから、大丈夫だって。
母:ほら、帽子かぶって、熱中症なるよ。
蛍:いいっては、大丈夫。 
行ってきます。

彼に初めて出會ったのは、私が六つの時でした。熱い夏の日、妖怪達の住むといわれる山神の森で、私は迷子になったんです。出口を求めて走り回り、疲れて動けなくなって、寂しさと恐ろしさから、とうとう泣きだしてしまった私の前に、彼は姿を現したのでした。

ギン:おい、チビ、何を泣いているんだ。
蛍:人だ、助かったあ。
ギン:す、すまない。お前、人間の子供だろ。俺は人間に觸れられると、消えてしまう。
蛍:人間に、て?お兄さんは人間じゃないの?
ギン:この森に住むものだ。
蛍:え?じゃあ、妖怪さん?でも、消えるって、どういうこと?

蛍:本當に人じゃないのね。子供を棒で毆るなんて。
ギン:消えるってのは、消滅するって意味だ。山神様がそういう術を俺にかけてる。人間に觸れたら最後、それでお終いだ。
蛍:あー、
ギン:そっち側持ちな。迷子なんだろ。森の外まで連れて行く。
蛍:ありがとう。
ギン:止せっての、
蛍:ごめんなさい。つい……

蛍:ふふ、何かデートみたいですね。
ギン:色気のないデートですね。

ギン:お前は怖がらないですね。
蛍:何を?
ギン:いや。ここを真っすぐ行くと、山道へ出る。じゃあな。
蛍:お兄さんはずっとここにいるの?またここに來れば會える?
ギン:ここは山神様と妖怪の住む森。「入れば心を惑わされ、帰れなくなる。」「行ってはいけない。」そう村の達に言われてるだろ。
蛍:私、竹川蛍。あなたは?

蛍:とにかく明日、お禮をもってまたここに來ます。サヨナラ。
ギン:「ギン」だ。
お爺ちゃん:蛍、
蛍:お爺ちゃん、
お爺ちゃん:このバカタレが。一人で山に入って、怪我でもしたらどうする。 
蛍:お爺ちゃん、あの森には妖怪が住んでるって本當?
お爺ちゃん:山神の森か。さぁな。そういう言い伝えだ。子供の頃は妖怪に會いたくて、よく友達と森に入ったもんだ。結局會えなかったが、目の端でチラチラと何かを見た気がしたよ。夏の夜なんかは森の中からおはやしが聞こえてきたり、そう言えば、巖ちゃん達が森の中で夏祭りに迷い込んで遊んだって言ってたっけ。けれど、村の人間があの森で祭りなんかするはずもない。じゃあ、あの祭りは何だったんだ。妖怪達の祭りに迷い込んだんじゃないかって大騒ぎになってなあ。 カー懐かしいね、おバカだったね、がきんちょの頃は。

ここは山神様と妖怪の住む森。入れば心を惑わされ、帰れなくなる。

ギン:來たね。本當にまた來るのは思わなかった。うん?
蛍:待っててくれたのね。
ギン:學習しないな、お前は。
蛍:嬉しくてつい、ごめんなさい。
ギン:ここは熱い。涼しいところへ行こうか。
蛍:え?
ギン:大丈夫だよ。またちゃんと送るから。
蛍:うん。

妖怪:ギン、それ、人間の子供か。食べてもいいか。
ギン:だめだよ。友達なんだ。
妖怪:そうか。人の子、ギンの肌に觸れてくれるなよ。もし觸れたら、わしがお前を、食ってやるぞ。
ギン:くしゃ、くしゃ。
蛍:わっ、狐?
ギン;あれも妖怪だよ。化けて人を脅かすけど、根は憶病でいい奴だ。
蛍:すごーい。本物の妖怪なんて初めて見た。本當にいたのね。すごい、すごい。
ギン:お前、俺のことなんだと思ってるんだ。
蛍:ギンはのっぺらぼうか何かなの。なんでお面が付けてるの。
ギン:たいした理由はない。俺のことはいい。蛍のことを話せよ。
蛍:興味ある。
ギン:あるから待ってたんだ。

次の日も、その次の日も、私は森へと通いました。山の中を駆け巡って遊び回る夏の日々。
蛍:こっちこっち。
ギン:あっちのほうが卵がいいんだよ。
蛍:ありがとう。

たわいないことでも、楽しくて仕方なかった。
ギン:いたっ。待って。

蛍:ギン、眠っちゃったの。お面には觸ってもダ丈夫なのよね。あ、ごめんなさい。
ギン:痛っ。寢込み襲うとは、お子ちゃまが恐ろしいな。
蛍:ごめんなさい。でも、狸寢入りしてたんでしょ。
ギン:普通だったろ。
蛍:なぜお面をしてるの。
ギン:こんな面でもしてないと、妖怪には見えないだろう。
蛍:変なの。

蛍:あのね、ギン。
ギン:うん?
蛍:私、明日から、ここに來られないんだ。この前話したのでしょう。夏の間に、お爺ちゃんに遊びに來てるって。だから、明日帰らなきゃいけないの。
ギン:ふーん。來年も來れるか。
蛍:うん。

こうして私は、夏を心待ちにするようになりました。

約束の夏、ギンは私を待っていてくれました。

蛍:冷たい。
ギン:変な奴だな。水が冷たいのは當たり前だろう。

樹:ギン。危ないギン。それは人の子だ。觸れられたら、お前は消えてしまう。
ギン:ありがとう。大丈夫だよ。
樹:觸れてくれるなよ、人の子よ。
蛍:はい。
妖怪:ギン、ギン、ギン、ギンよ、気をつけて。ギン、ギン……
蛍:妖怪さんたちは、觸ることができるんだよね。

そんな夏が、二度と三度続き……

ギン:蛍、どこだ。蛍、ほた、
蛍:わっ。
ギン:何やってんだよお前は。
蛍:驚いた顏、見てやろうと思ったんだけど。私といる時くらい、時時はお面外してくれる?
ギン:いいけど。何か意味あるのか。
蛍:別に、意味はないけど。
ギン:危ない、ほた!危なかった。
蛍:そうね。
ギン:……すまん、蛍。大丈夫か。
蛍:でも、よかった。ねぇ、ギン。何があっても、絕対、私に觸らないでね。ね。絕対よ。

次の夏も、次の次の夏も、私は森へと通ったのでした。
蛍:行ってきまーす。

蛍:ギン、今年も來たよ。じゃん、中坊になりました。
ギン:なんか、女みたいに見えるぞ。
蛍:女ですよ、一応。
ギン:行こうか。
蛍:うん。
あれ、なんか。そうか。
蛍:中學校になっても、小學校の頃の友達もいっぱい同じクラスにいるから、あんまり変わらない感じ。それより……
目線が少しずつ近づいてゆく。
ギンは、どうやら人間よりずっと、成長が遅いようで。
ギン:こうか。
蛍:そうそう。それで私が走ったら離してね。行くよー。

私は年を重ねるごとに姿が変わっていくのに。ギンはほとんど出會った頃のままで。
そのうちきっと、銀の年を追い越してしまうのね。

お爺ちゃん:おい、蛍。西瓜切ったぞ。食え。
蛍:うん、はーい。お母さんは?
お爺ちゃん:ばあさんと買い物。橫浜の友達にお土產だってよ。明日、何時の新幹線だって?
蛍:知らない。でも、お晝にはここ出るって言ってたよ。
お爺ちゃん:そうか。今年は陽気も良かったから甘いなあ。
蛍:うん。
お爺ちゃん:この調子じゃ、冬は冷えるだろうなあ。
蛍:そういうもの?
お爺ちゃん:そういうもんだ。この辺りはなあ、盆地だし、海も遠いから、夏と冬の寒暖差が大きいのさ。特に暑い夏の年の冬の寒さったら、山神の仕返しかと思うくらい、凍てつくぞ。
蛍:あのさ、お爺ちゃん。
お爺ちゃん:うん?

ギン:マフラー?
蛍:そう。冬になったら使ってね。
ギン:へぇー。
蛍:じゃね、また來年。

男:竹川、そろそろ理科室行った方がいいんじゃねえ。
蛍:あ、本當だ。皆行っちゃったんだ。
男:先、行ってんよ。
蛍:うん。ありがとう。

テレビ:初代Itab発売からわずか十ヵ月後の新モデルの発売で、タブレットが多端末の市場競爭は……
蛍:ごちそう様。
母:何、もういらないの?あ、またご飯の前に何か食べたでしょう。間食すると、太るわよ。
蛍:食べてないっては。もうお風呂入る。

男;竹川。 竹川。
蛍:うん。おはよう。
男:おはよう。そこ、足元、凍ってるぞ。滑る、危ない。
蛍:ありがとう。
男:寒いなあ、今日。
蛍:うん。
男:お前さ、最近、なんかぼうっとしてね。っつうか、もともとちょっとぼうっとして……

ギンに會いたいです。
ギンに觸れたいです。

ギン:それが新しい制服?
蛍:うん。
ギン:あっという間だな。もう高校生か。
蛍:そうなの。
ギン:最近はもう飛びついてこないな。
蛍:あたりまえでしょ。あれだけゴスゴス毆っておいて。楽しみだなあ。あと三年して卒業したら、こっちの方で就職探すつもりなの。そしたら、もっと一緒にいられるわ。秋も、冬も、春も、すっと。ね。
ギン:蛍、俺のこと、話すよ。俺は、「妖怪」ではない、けれど、もはや人でもない。人の子だったらしいけど、赤ん坊の頃、この森に舍てられたんだ。舍てられたばかりの俺は、手が付けられないほど泣いたらしい。まるで、舍てて行った親を呼び続けるように。いつまでも、泣きやまなかったそうだ。本來、その時、命を終えていたはずだったけれど、山神様が憐れんで、妖術で生かし続けてくれている。それに甘えて、いつまでも成仏しょうとしない。幽霊のようなものなんだ。蛍、忘れてしまっていいんだよ。妖術で保たれてる體は、とてももろい。本物の人に肌を觸れると、術が解けて消えてしまう。そんなあやふやなもの、君がいつまでも、
蛍:觸れると消えてしまうなんて、まるで雪のようね。私ね、ギン、冬の間もギンのことを考えていた。秋も、春も。ギン、忘れないでね、私のこと、忘れないで。

時間がいつか私たちを分かつでしょう。けれど、それでも、その時まで、一緒にいようよ。

蛍:妖怪祭り?
ギン:違う、「妖怪たちの夏祭り」。
蛍:大差ないじゃない。
ギン:ニュアンスが全然違うだろう。
蛍:ニュアンス?
ギン:蛍はまだ小さくて、怖がるかと思って、誘わなかった。今夜、家を抜け出して來れるか。すっと一緒に行きたいと思っていたんだ。
蛍:行きたいです。
ギン:では八時、いつものところで。
蛍:でも妖怪ばかりの祭りって、ちょっと怖いかなあ。しかも夜だし。
ギン:大丈夫。見かけは人の祭りと変わらない。人の祭りを真似した遊ぶ祭りだし。蛍は、俺が守るよ。
蛍:そういうことを言われると、飛びつきたくなってしまう。
ギン:飛びつけばいい、本望だ。

蛍:本當だ。人間の祭りとほとんど同じ。皆人に化けてるの。
ギン:そう、見事だろ。時時人もそれとは知らずに迷い込んでくるらしい。
蛍:巖ちゃんたちのことね。
ギン:だれ?

ギン:蛍、そっちの手首にこれを結びな。迷子になる。
蛍:うん。

蛍:ふふ。デートみたいですねー。
ギン:デートなんですねー。行こうか。

蛍:変なの。

蛍:ほら、あの子のしっぽが。ごめんなさい。

蛍:あー、おかしかった。皆頑張って化けているのね。まるで物真似大會見たい。毎年こうなの。
ギン:ああ、そうだな。夏が來るたび。

ギン:蛍、俺、もう夏を待ってないよ。離れていると、人込みを掻き分けてでも、蛍に會いに行きたくなるよ。

ギン:その面、やるよ。

きっともう、彼は次の夏、あの場所へは來ないでしょう。きっとこれが、最後の。

子供:待ってよ。
ギン:危ない。
蛍:大丈夫?
子供:うん。ありがとう。
蛍:気をつけてね。

蛍:ギン?今の子、人間?ギン。
ギン:來い、蛍。やっとお前に觸れられる。

ギン:好きだよ。
蛍:ええ。私もよ。

綠深い。ここは山神の森。

妖怪:蛍、ありがとう。私たちはずっとギンと一緒にいたかったけど。ギンはやっと人に觸れたいと思ったんだね。やっと人に抱きしめてもらえたんだね。

しばらくは、きっと、夏を心待ちにはできないでしょう。胸が痛んで、涙が溢れて、けれど、手に殘る溫もりも、夏の日の思い出も、私とともに生きてゆく。

さあ、行こう。行きましょう。


蟬の唄 笑い聲
夕焼けの 茜色
帰り道 遠回り
約束は また明日

夏はただ 先潛り
その命 輝かせ

終わらない お話の
その先に 気がついて
鴉たち 遠さがり
何処かへと 飛んでゆく

夏はただ 駆け抜ける
寶物 しまうように

いつまでも 懐かしい
あの頃は 黃金色
何気ない 毎日の
片隅を照らしてる

夏はまた やってくる
約束を守るように

夏はただ 先潛り
その命 輝かせ

            —— 「夏を見ていた 」


動畫信息

螢火之森
中文名:螢火之森
原 名:蛍火の杜へ
又 名:螢火之社 / Hotarubi no mori e / To the Forest of Firefly Lights
首 播:2011-09-17(日本)
IMDb:tt2061702

相關閱讀

最近更新

隨機推薦


© 2022 3樓貓動漫 站點地圖 廣告合作:asmrly666@gmail.com