庵野秀明インタビュー全文

テレビにこだわる理由っていうのは、まあ色々あるんですけど。
今の閉鎖されたアニメーションの世界ですか。閉塞感を伴ったなんかすごく息苦しいものがあるんですよ。
これは感じてる人と感じない人がいるんですけど、少なくとも僕は感じた。
で、その閉塞感をなんとか打破したくて、打破するにはもうovaではちょっとメディアとしては難しいと思うんですね。
その場合、やはりテレビしかないだろうと。
今回の主人公はちょっと躁鬱ある、おまけに自閉気味ですね。自閉で躁鬱なおかつ分裂もあるんですよ。こういう主人公ですね。
なんか、何かあるんじゃないのかなそういう人でも。なんかそういう閉鎖から抜け出す方法ですか。自殺ではなくて。
自殺っていうのは希望の產物ですからね。絕望ではない。まあ、人間は絕望できないと思うんですよ。
絕望を知りたくて、なんか生きているかもしれないというところもありますからね。
こういう自閉的な人がどうすればなんか変われるんだろうと。でてくるキャラクターはみんな自閉気味ですよね。
他人と共有するものあんま持たないですか、ギスギスした人間関系がそのままフイルムに出てます。
それをシンパシと感じる人もいるし、逆に嫌悪を感じる人もいると思いますが、まあそれは覚悟の上であえてそうしているということです。
「新世紀」って英語だと、英語というか橫文字のタイトルだと「neon genesis」ですね。
要するに、新世紀の「紀」の字をちょっと違う意味で書いています。
邦題というか日本語の新世紀の「紀」がまた違う方ですね。
これは両方の意味をちょっと兼ねてみたかったんですよ。
かといって、それをカタカナにするとちょっと格好悪いんで、英語と日本語で同じ表記のものなんだけどちょっと意味合いが違っていると、そういうものにしたかったですね。
これは別にアニメさんの中でですね、新しいものを作る気概っていうよりは、自分の中で、あくまでも自分個人としてあの新しいものにしたかったという、まあそれだけのタイトルです。
新しい時代というと、新しい時代でもあるし、新しいなんかそれを殘すものでもあると、そういう掛け言葉して「新世紀」というのが入ってます。