海:蟲だって動物だって、光るものは見つけてほしいから光るんでしょ。
海にも陸にも、 幽霊はどこにでもいる。
「生命が多様性によって維持されるものならば・・そして様々な環境に適応していくことで多様性がうまれるなら、生命は進化のある段階で、『好奇心』を必要として獲得したのかもしれない。」
「颱風は確かに大きな被害をもたらすけど、それだけじゃないんだから。例えば川底の石についた汚れを颱風の大雨が流してくれる。魚たちの卵はきれいな石にしか產みつけられないから、颱風のない年は卵も減ってしまうのよ。颱風だって地球の生きるシステムの一部なんだから。単なるトラブルメーカーなんてないと思うの。いろいろな一面を見なきゃ。」
颱風は”精霊の船”なんだ。なんでも運ぶ風の船。記憶や時間や・・精霊も幽霊も。颱風の日は海で產まれた大勢の幽霊たちと、嵐の中ですれ違う。
「海はあなたたちの考えのおよばない別世界だよ。情報もいろいろな形で伝わってくる。」
「顕微鏡ができる前・・人間にとっての世界はもっと大雑把なものだった。望遠鏡ができる前、世界はもっと小さかった。今、見えているものが・・世界のすべてとは限らないだろう?」
「この世界に在るもののうち、僕ら人間に見えているものなんてほんの僅かしかないんだ。
宇宙を観察する技術が進んでわかったのは、どんな方法でも観測できない”暗黒物質”があるという事。宇宙の総質量の90%以上は正體不明の暗黒物質が佔めている事になる。僕たちは何も見てないのと同じだ。
この世界は見えないもので満たされていて、宇宙は僕たちに見えているよりずっとずっと広いんだよ。」
「宇宙は人間に似ていると思う。人間の中には、たくさんの記憶の小さな斷片がバラバラに漂っていて・・・何かのキッカケで、いくつかの記憶が結びつく・・・そのちょっと大きくなった記憶に、更にいろいろな記憶が吸い寄せられて、結びついて大きくなっていく・・・それが”考える”とか”思う”という事でしょう?」
大昔の人はね・・・蜃気樓は蛤の吐き出す夢だと考えていたそうだ。もしかしたら僕らのすむこの世界は、深海を埋めつくす無數の貝が吐き出す夢なのかもしれない・・・
今わたしたちのまわりにある全ての存在は、世界が生まれたときからきっかり同じだけの時間を経てここにある。みんな対等だと思うけどね。自分だけが頂上にいると思うのはマチガイだ。
海中のほとんどの場所は、人が未だ觸れた事のない未知の世界。
世界のどこかに永久に記憶された、私たちのした”事”。その痕跡を『幽霊』と呼ぶ事もある。ふとした瞬間にわたしたちは出會うのだ。過去や未來の”誰か”の記憶に・・・
むかしこのうたを聞いた人間が自分たちの言葉に置きかえた・・・
星の
星々の
海は產み親
人は乳房
天は遊び場
形をかえたから力を失ったけど、これは特別なうた。